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素朴な疑問Q&A

◆執行役員制とはどのようなものですか?

 

ソニーの執行役員制導入を契期に、多数の企業で執行役員制の採用が始まりました。執行役員制とは、企業の経営意思決定を行う者とその意思決定に基づいて実行する者を明確に区別する制度のことです。取締役会が経営意思決定を行い、これを実行するのが執行役員です。そして、執行役員の実行状況を取締役会が監督することになります。 わが国商法では、会社の基本機能として取締役会制度を設けています。取締役会が経営上の重要事項を決定し、同時に各取締役に分担された職務執行内容を監督することになっています。取締役会制度と執行役員制度は、用語に違いがある程度で実際上は大きな違いがないように見えます。それにもかかわらず、執行役員制を導入する意味はどのようなところにあるのでしょうか。
 大企業ともなれば、数十名の取締役が存在し、定期的に取締役会が開催されています。取締役会で経営の重要事項を調整すべきわけですが、実際には社長や専務・常務といった極少数の取締役が会社方針を決定していて、取締役会はその内容を伝達するミーティングと化していることが多いと批判されてきました。本来取締役会は、特定の取締役の独善を牽制し会社をよりよい方向に導いていく役目があります。しかし、社内取締役であれば、自分に対する人事権を握っている一部の取締役に意見することは難しいことです。
 従来より、取締役は、一部の者を除いて、サラリーマンの最終到達目標的なところがありました。わが国では、会社に長年忠誠を尽くして真面目に職務を遂行するとともに、社内政治をかいくぐってきた勝者が取締役に選任されてきました。取締役にまで登り詰めた人は、会社の業務内容や人脈に明るいわけですが、こうした能力は業務オペレーション上有効であっても、企業戦略といった会社の方向性をドライに決定していく上で十分な能力とは必ずしもいえません。これまでは執行役員的な人材が取締役を兼任していたようなものです。取締役会の構成員は、あくまで経営のプロのみによって構成し、業務のプロには、執行役員というポジションを与えようというのが、執行役員制の特徴なのです。
 執行役員制の急激な増加要因は、上記のような理想論によるものでは必ずしもないようです。執行役員制の採用を表明した会社の役員欄をみると「取締役兼執行役員」という肩書きが非常に多くみられます。このような肩書きは担当取締役制とほとんど違いがないように思えます。むしろ、世界の優良企業と評されるソニーに追随することによって、自社のイメージアップを図りたいとか、取締役から執行役員(従業員のトップ)に格下げすることで取締役をリストラするという側面もあると思われます。 わが国での執行役員制は始まったばかりです。現時点でさまざまな軋轢が生じることは仕方がないことかもしれません。より優れた経営力を持った企業が元気よく飛び出してくることを期待しています。

 
 
 

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